
第42回目のデザロン・キョウトは、浄土宗西山禅林寺派 慈舟山瑞泉寺住職でイラストレーター Kobouzuとしても活躍されている中川学さんに仏教のことやイラストレーターとしてのお仕事、作品についてお聞きしました。
慈舟山瑞泉寺は豊臣秀次公を奉ったお寺であるため、その歴史や成り立ち、また悲劇の主人公としての秀次公像など、貴重な資料と共に詳しくお話し頂きました。瑞泉寺は京都の中心部、三条木屋町にあり、今はインバウンドの外国人観光客でも賑わうロケーションです。今回の会場となった京信QUESTIONからも徒歩で向かえます。
そして、イラストレーターとしての活動、PCとマウスで描く技法など、多くの作品を観ながらご説明頂きました。中川さんが描かれる作品は、完全デジタル制作でありながら温かみがあり優しく「和POP」と呼ばれています。作画についてのお話しから、独特の余白の使い方や微細に描く部分と引き算によるコントラストが艶となり、それゆえに美人画も多く、その陰影の表現がライフワークという泉鏡花作品のイラスト化にも繋がっています。
僧侶、住職、イラストレーター、合気道を続けられる武道家として、また家庭を持つ人間としても、中川さんは「緩さ(ゆるさ)」が大切だと仰いました。なにかと生き難さを感じる現代、その「緩さ」は、いい加減ということではなく、優しさと余裕を持ち、真面目にしっかりと芯をもった生き方が必要なのだと感じました。
会場には終始笑顔があふれ、和やかな雰囲気で42回目のデザロン・キョウトを楽しく終えることができました。イベント後の交流会も、中川さんを中心に参加者のみなさんと濃い話でさらに盛り上がりました。
今回のゲストである中川学さん、またご参加頂いた皆さん、本当にありがとうございました。
■撮影:市野亜由美さん
■Special Thanks:高理恵さん
- ゲスト
- 中川学(なかがわ・がく) 氏
(浄土宗西山禅林寺派僧侶、慈舟山瑞泉寺住職、イラストレーター) - 開催日時
- 2025年5月31日
- 会場
QUESTION 4F Community Steps(京都信用金庫)
- 中川学(なかがわ・がく) 氏1966年生まれ。浄土宗西山禅林寺派僧侶。
佛教大学文学部で仏教美術を学び卒業後リクルートに入社、求人広告のディレクターを6年間経験した後京都瑞泉寺に戻り、僧侶とイラストレーターの二足のわらじ生活を始める。現在住職。デジタル手法で描き出される和洋を問わない様々なモチーフは、2005年ドイツの美術出版社TASCHN発行の世界で注目されるイラストレーターを紹介した書籍「ILLUSTRATION NOW」に選ばれ、また2007年よりロンドン発のトレンド雑誌MONOCLEの挿画・表紙画を手がけるなど海外からも高い評価を得ている。現在は時代小説の装丁画や絵本など日本文化に根ざした仕事に力を入れている。『繪草子 龍潭譚』(自費出版)と『絵本 化鳥』(国書刊行会)は共にアジアデザイン賞受賞、朱日記(国書刊行会)、『榲桲に目鼻のつく話』(エディシオン・トレヴィル、河出書房)は特装版(エディシオン・トレヴィル)がindigo Design Award 2020 Book Design部門GOLD賞・第54回造本装幀コンクール「出版文化産業振興財団賞」受賞。主な小説挿絵/橘花抄(葉室麟著 週刊新潮2009-2010)、とっぴんぱらりの風太郎(万城目学著 週刊文春2011-2013)、尼子姫十勇士(諸田玲子 サンデー毎日2017-2018) 織部の妻(諸田玲子 京都新聞2023 )主な絵本/『絵本 化鳥』『朱日記』『絵本 龍潭譚』(国書刊行会)、『榲桲に目鼻のつく話』(河出書房新社)、『詩画集「幸せに長生きするための今週のメニュー」(ミシマ社)、『だいぶつさま おまつりですよ』、『だいぶつさまのうんどうかい』『おいなりさん』『絵本法然上人ものがたり そのとき門はひらかれた』(共にアリス館)、『やまびと(えほん遠野物語)』『世界でいちばん貧しい大統領のスピーチ』(共に汐文社)、『か~なむらのそんちょうさん』(絵本館)など多数。最新作は『だいぶつさまかぜをひく』(アリス館)








































